プロの芝生の貼り方を知りたい!

 鳥取県は芝生の産地です。ほど近い島根県松江市や出雲市においても天然芝生の庭がよく好まれます。
 
 芝生は色々種類があります。大きく分けて日本芝と西洋芝です。
 それぞれ芝生の貼り方も違います。ここでは、よく使われる日本芝の貼り方について説明しましょう。

 日本芝は、冬に枯れて茶色くなり、夏場が緑であることから夏芝と呼ばれることもあります。最もよく使われる日本芝は、コウライシバです。最近では、さらに葉が細いヒメコウライシバも多くなりました。他にノシバもあります。
 

 日本芝は日本の気候に合った芝生であることから、とても丈夫で扱いやすい特徴があります。しかし、少しでも冬の間も長く緑ていて欲しいとか、葉の伸びを抑えて芝刈りの量を減らしたいといった便利を追求し、品種改良が盛んにされました。
 現在は、日本芝を改良した特許付きの品種なども少なくありませんが、性質としては、いずれも日本芝と変わりまりません。
 それでは、日本芝の貼り方を工程順にみていきましょう。

芝生貼りの工程

 最初に確認しておきますが、芝生貼りの目的は、芝生の活着、つまり芝生がその場所で根を下ろして生きることができる状態になることですね。さらに、活着した芝生がそのご長年にわたって生育し続けるのに最も適した環境を作ることです。
 そのためには、芝貼りの要諦として、土壌の状態を整えることと、芝生の状態を整えることが必要となります。
 それでは、上記の目的を達成するための芝生貼りの工程を見ていきましょう。

【土壌の状態を整える】
①不要物を撤去する
②仕上りレベルに調整する
③土壌を診断し改良する
④整地して均す
⑤しっかり踏み固める
【芝生の状態を整える】
⑥芝生を貼る
⑦目土をかける
⑧芝生を圧着する
⑨水をかける
⑩必要なら鳥の対策をする
⑪生育を見て管理する

①不要物を撤去する

 不要物とは、石ころや草や根です。石ころは、芝生の根が土壌に伸長するのを妨げます。よって、大き目の石ころは撤去するか、もしくは10センチ以上埋めておきましょう。
 草や木の根は、芝生を貼った後に草が生えてきては困りますから、予め撤去しておきましょう。木の根も同様ですが、太い根は芝生の伸長を妨げます。10センチ以上土中に埋まっていれば問題ありませんが、地表を這っていたら、撤去するか、芝生を貼るのを避けるか選択することになるでしょう。
 草については、除草剤を散布しておくと効果的です。ただし、除草剤の種類は重要です。根まで枯らす非選択性の浸透型とし、土中には残らない茎葉処理型を選びましょう。除草剤については別ブログの「除草剤を庭木の近くに散布したら、庭木は枯れますか?」を参考下さい。

②仕上りレベルに調整する

 仕上りレベルとは、土の高さのことです。最終的に芝生を貼ったらどの高さにするのかを決めておくのです。決めたレベルに対して、現状地盤が低ければ客土、つまり土を足して調整します。逆に現状地盤が高ければ不要な土を撤去します。
 この時点での作業が、最終の芝生の仕上りレベルを決めることになりますので、しっかりと調整しておきましょう。
 なお、芝生自体は厚みが2cm程度あります。さらに、この後の工程で土壌改良をしますので、その分土が増えることになります。しかし、転圧により土壌の空気を逃がす作業もあるので、差し引きして、この時点では、仕上り高さから3㎝程度下げた状態に調整しておきましょう。

また、芝生は広い面積に貼ることが多いため、雨水を表面の勾配によって排水を促す必要があります。もちろん雨水は土中に浸透しますが、それは時間がかかるため、大半の雨水は芝生の表面を流れて排水されることになります。
 よって、どこに排水するかを決めて、この時点で地盤に勾配をつけておきましょう。勾配は1~2%程度のなだらかで十分ですが、斜めにするのが難しい場合は、中央部を最も高くして、マウンド上に緩やかな山形にしておけば、全体に雨水を散らすことができます。
 排水計画もこの工程の重要なファクターとなりますので、十分に考慮しておきましょう。

③土壌を診断し改良する

 地盤の調整が終わったら、土壌を診断します。診断と聞くと専門的で難しそうに聞こえますが、単に芝生の生育に適しているかどうかだけを判断すればよいのです。
 ここで芝生の生育に適している土壌とはどんなどじょうでしょうか。
 芝生は排水が良い土壌が大好きです。逆に言えば排水が悪いじめじめした土壌は大嫌いです。よって、まずは排水が良いかどうかを確認します。排水が良い土壌とは24時間以内に水たまりがなくなる土壌です。すごく排水が良いと水溜りもできないくらいすぐに排水するならとても良いですが、それはそれで夏場の乾燥に耐えられなくなります。その場合は、逆に保水性を高める必要があります。
 多くは、排水を良好にして、芝生の根が伸びる土中10センチ部分の保水を高めるのが良いでしょう。
 また、土壌の固さも重要です。スコップが入らないのようなカチコチの土壌は水はけも当然悪くなりますし、そもそも芝生の根も伸びることができません。スコップがサクサク刺さる土壌が最適です。しかし、これも土中深くまでサクサクでなくてよいです。排水も考慮して土中30センチくらいまでやわらかい土壌であれば最適となります。
 このように、芝を貼る土壌の排水性と保水性、そして土壌の固さを診断します。

 診断によって、土壌の改良方法を検討します。それぞれ以下のように対策をしましょう。
 土壌の排水が悪い‥排水良くする砂をすき込みましょう
 土壌の保水が悪い‥保水性を高める珪藻土やパーライトをすき込みましょう。
 土壌が固い‥土壌を耕して珪藻土やパーライトを混入しましょう。

 もう一つ土壌について注意しておくことがあります。それは、土壌微生物の存在です。土壌は微生物が存在することで長らく耕され程よい土を作ってくれます。よって、土壌に微生物が育つように餌となる土壌改良をすき込むこともよいでしょう。たとえば、バーク堆肥や腐葉土です。なお、これらは、土壌をやわらかくしたり、保水性を高める効果もあります。

 それでは、あなたの庭はどんな状でしょうか。庭によくある土壌の特徴をいくつか挙げておきますので参考にして下さい。

 住宅造成に使われる真砂土‥締め固まりやすく、固まると排水性が極端に落ちます。締め固めないと保水性が極端に落ちます。土壌微生物の餌はありません。よって、土壌が締め固まりにくくする改良を行い、土壌微生物の餌をすき込みましょう。

 畑土‥やわらかく水持ちが良いですが、排水性に問題があります。土壌微生物にとっては快適な場所です。よって、排水性を高める土壌改良を行いましょう。

 赤土‥粘土質で排水性が極端に悪く、固結しやすい土壌です。土壌微生物の餌もありません。このような粘土質な土壌は改良するのに多大な負担が生じます。よって、土の入れ替えや、客土によって、厚さ20から30センチていどの新しい層を作った方がよいでしょう。

④整地して均す

 土壌改良を行ったら、しっかり既存土壌と混ぜて整地します。整地は、②で決めた仕上りの高さや勾配になるように綺麗に整地します。この整地で芝生の仕上りが決まることになります。整地には、トンボというグランドを均す道具を使うと便利です。広い面積の場合は、バックホウという重機を使うこともあります。広さに合った道具を使用しましょう。
 整地をする時の注意点としては、①で撤去した不要物が再び姿を現すことがあります。整地しながら、不要物が無いかを確認して進めましょう。また、当然ながら凸凹がないように目で確認しながらなるべくきれいに整地しましょう。

 

⑤しっかり締め固める

 整地をしたら、つぎに土壌の中の空気を抜きます。つまり、しっかり締め固めます。その理由は、空気があると、後々凸凹になるからです。この時点でしっかりと空気を抜いて凸凹になることを防ぎます。
 なお、凸凹になると、あとあと芝刈り作業が難航したり、水はけが著しく悪くなってしまいます。結果的に芝生の健全な生育が妨げられますので、ここでの締固め作業は重要です。
 締固めには、足で踏み固めるのが一番簡単ですが、広い面積になると、道具を使います。締め固める専用の道具を使用するか、重機を使用して踏み固めるのもいいでしょう。
 しかし、せっかく改良してやわらかい土壌にしたのに、ここで締め固めたら意味がないのではと思われる方もいるでしょう。
 これについては、土壌改良を行っているため、締め固めても、完全に固まることはなく程よく保水排水性をのこすことができます。また、締固める度合いについては、とことん固くする必要はありません。あくまでも土中の空気を抜いて、後々凸凹になるのを防ぐ程度の転圧で十分です。

⑥芝生を貼る

 いよいよ芝生を貼ります。ここまで5工程もあって長かったですね。しかし、芝生を貼るのは簡単で、それまでの環境づくりが重要ですから、5工程はしっかり行ったうえで、芝生を貼りましょう。
 芝生は、平張りといって、隙間なく敷き詰めるのが最も有効です。隙間である目地をとって、少ない量で広い面積を貼る方法もありますが、目地が乾燥して生育が鈍化するので、あまりお勧めしません。
 ここでは、平張りでの貼り方を説明しましょう。
 芝生は30センチ程度のカットして四角のマット状で販売されています。10枚をひとくくりにして1束単位で販売されています。丁度1束で1㎡になるように計算されていますので、芝生を貼る面積を計算して、その量の束を購入すればよいです。ただし、芝生は端部ではカットして使うことになりますので、いくらか多めに用意しておいた方がいいでしょう。

 芝生を貼る時には、一枚一枚人力で貼ります。綺麗に並びを合わせて隙間ができないようにはりましょう。その際に気をつけなければならないのは、1枚の芝生を貼る地面を再度手で均すことです。足跡などがついて凸凹になっているところに芝生を貼ってしまうと、空気の隙間ができて芝生の根が伸びることができません。部分的に枯れる原因を作ってしまいますので、しっかりと木の板などで均しながら芝生を貼っていきましょう。
 芝生は、まずは一枚一枚載せていくだけで良いです。あとあと、芝生を上から重さをかけて圧着する作業がありますので、この時点では載せていくだけで十分です。

⑦目土をかける

 芝生を貼り終えたら、目土を掛けます。目土とは、芝生と芝生の間の隙間や芝生の表面に砂を入れる作業を意味します。
 目土の理由は、芝生が乾燥してしまわないようにすることと、根が早く出るように隙間を無くすことの2つがあります。
 目土は、できるだけ細かな砂がよいです。真砂土をしようすると目が粗いことや表面に泥の膜を作ってしまうことにより悪影響を与えます。目が粗いと後々芝刈り作業の時に石ころが飛んで危険です。泥の膜が張ると、芝生の葉に日光が当たらず枯れる原因となります。
 よって、目土には川砂や左官砂が良いでしょう。ただし、砂でも海の砂は塩分があるため、芝生の生育を妨げるので使用してはいけません。

 

⑧芝生を圧着する

 芝生の目土がおわったら、芝生を上から重さをかけて、土壌としっかりと圧着しましょう。圧着することで、地盤にぴったりとくっつき、空気層がなくなるので、根が伸びることができるようになります。
 圧着作業は、コンパネなどを敷いて上から体重をかけたり、コンパクターという機械を使用したりします。スコップの背でたたいたりしてもよいでしょう。
 ただし、気をつけなければいけないのは、芝生を勢いよく叩いてしまったために、せっかく綺麗に張った芝生が暴れてしまわないようにすることです。芝生同士が重なってしまったら確実にその部分は枯れてしまいますので、芝生を乱さないように注意して圧着していきましょう。

 

お手製の芝たたき

⑨水をかける

 ここまで来たら、あとは最後の水やりです。水やりは1枚1枚しっかりと水を与えます。
 水やりのコツは、芝生の表面に水が浮くまでしっかりとやることです。
 水やりの注意点は、あまり勢いのある水圧でやると、芝生の目土が飛ばされてしまいます。よって、シャワーのように優しく水を与えるのがよいでしょう。
 水やりは意外に時間がかかります。というのも、土壌や張ったばかりの芝生には、水分が非常に少ないので、浸透するまで水やりするためです。
 1㎡あたり、10ℓ程度は必要となりますので、10㎡100ℓとなると結構な量です。時間にすると10㎡でも10分は必要でしょう。

 

⑩必要なら鳥の対策をする

 芝生を貼ったら、なぜかひっくり返されることがたまに発生します。これはカラスの仕業です。ひっくり返して中にいる虫を食べるのです。
 ひっくり返されると芝生は枯れてしまいます。よって、鳥が来るようなら対策が必要です。
 対策としては、テグスを貼りめくらせるのが有効です。物理的に入れなくしてしまいます。他にもCDをぶら下げたり音を鳴らしたりといったグッズも売っていますが、効果のほどはいかに。
 面積が広くなるほど鳥の被害を受けやすくなる傾向にあります。面積が広いと人の気配も少なくなり取りが近づきやすくなるのでしょう。広い面積に芝を貼る時には、鳥の影響も考慮しておくとよいでしょう。

 

⑪生育を見て管理する

 芝貼りが終わったら、その後の管理作業が必要となります。主な管理作業はみずやりです。特に貼ってから3か月程度は根の量が少ないので、水を頻繁にかけてあげましょう。
 また、梅雨のころに発生しやすいのが、キノコです。キノコは芝生を貼った最初の年に発生することが多いです。それは、すき込んだ土壌改良材のうち、バーク堆肥や腐葉土などの有機物を菌類が分解するからです。菌類は繁殖するとキノコを出します。直接的に芝生に影響を及ぼすわけではありません。間接的に芝生にとっていいとは言えないので、キノコが発生したら殺菌剤を散布するといいでしょう。
 また、芝生にとって直接悪影響を及ぼす菌類もあります。ラージパッチやさび病です。円形状に芝生が枯れだしたり、黄色い粉が沢山つき出したら菌類の仕業です。早急に殺菌剤を散布しましょう。
 
 そのほかの芝生の管理作業については別ブログ「芝生の庭にした場合の手入は大変ですか?」を参考ください。
 


 芝生を貼る方法について、プロがやっている方法をかなり細かく説明しました。DIY程度で芝貼りするなら、作業を省略して簡易に貼ってもいいかもしれませんが、結局は後々芝生管理の際に苦労することとなります。長期に渡り綺麗な芝生を楽しみたいならば、やはりプロにお任せするのがいいでしょう。金額は高くなりますが、色々な道具や状況判断などプロだからこそできる作業も多々ありますので、その点は考慮した方がいいでしょう。
 ところで、芝生はいつでも貼れるかというとそうではありません。日本芝は冬期に休眠しています。その休眠中に貼るのが適期となります。葉が出てしまうと水不足になりやすく、活着率がかなり落ちてしまします。葉が茶色い間に貼ってしまいましょう。

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